〜〜サンゴジュが温州萎縮病の蔓延を助長〜〜 

 サンゴジュは直立性で樹勢が強く、刈り込みにも耐えられることから、防風垣として広く利用
されています。
 サンゴジュについては、チャノキイロアザミウマやカメムシの発生源となることはよく知られていますが、
ウイルス病である温州萎縮病の蔓延を助長することはあまり知られていません。 
 そこで管内の温州ミカン園で萎縮病の発病実態を調査しましたので紹介します。


(園地の概要)
 
 40年生向山温州植栽、水田転換園、約15e。
 約20年前、一部の樹に宮本早生を高接ぎした結果、10年前頃から高接ぎ株及び隣接した株に
萎縮症状が現れた。現在、症状の激しい株から改植を進めている。
 なお、サンゴジュはほとんど伐採している。

(調査結果)
 40年生向山温州の発生程度が中〜多の樹は、すべてサンゴジュに隣接した1列目と2列目で発生していた。
特に1列目では、11樹中1樹を除きすべて多であった。
 改植から約10年を経過した3樹は全て中〜多であり、改植2〜3年目の幼木でも症状が中程度の発生樹が認められた。

(考察)
 宮本早生ウイルス対策実施以前に保毒穂木を高接ぎしたことにより、向山中間台木に伝染。
 その後、土壌伝染により防風垣のサンゴジュに感染した。
 ウイルスは感染したサンゴジュで増殖し、周辺の健全な温州みかんの樹に蔓延したものと思われる。
 また、発病樹を改植しても、短期間で土壌を介してウイルス感染し、発病すると思われる。

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